幼少期から好きだった
「ものづくり」
コンピュータ・ハイテック株式会社(以下、CHT)の創業者・田口 和利は、下町情緒あふれる東京都荒川区の三ノ輪橋で生まれました。
両親は、まだ焼け野原が裏手に広がっていた商店街で老舗かまぼこ店を経営。少年時代の田口にとって上野公園や上野東照宮は散歩道であり、現在CHT本社が所在する上野のエリアは、ゆかりの地でありました。
幼い頃からものづくりが好きだった田口は、勉学そっちのけで工作に熱中。木を削り、鉛のおもりとブリキのひれ、スクリューを備えた潜水艦を作り上げるなど、創造的な少年でした。当時を振り返り、「勉強なんて全くしない。工作や次々新しいことをするのがとにかく好きだった」と田口は語ります。
「一番新しいことに
チャレンジしてやろう」という想いからIT業界へ
大学で電子工学科に進んだ田口が打ち込んだのは柔道。また、相変わらず新しいことにチャレンジすることが好きで、学生時代には落語研究会や詩吟部、電子工学研究会などを新たに立ち上げています。まだコンピュータがなかった当時、大学で学んだのは真空管やトランジスタ回路。卒業後は「世の中で一番新しいことにチャレンジしてやろう」という想いから、東芝系のコンピュータ会社の電算機事業部に入社しました。
新卒入社した会社には約10年在籍。その後、株式会社ジャステックやアドソル日進株式会社はじめ、複数の企業の創業に携わってきました。「昔から新しい組織を創って、そこで新しいことにチャレンジするのが好きだった」と田口は語ります。大学を卒業して5社目となったのが、自身が創業したコンピュータ・ハイテック株式会社(CHT)です。
新しいことを始めることに
恐怖も不安もない。楽しみの方が遥かに大きい
社員12名でスタートしたCHTですが、このときの初期メンバーは「田口が会社を創るなら共に働きたい」と集まった有志ばかり。このようなエピソードは一度や二度ではなく、田口の周りに人が集まってくるのは彼の奇妙な人徳と言えます。田口はこの有志のため、なんと100坪もの広さの事務所を借り、少数精鋭でビジネスを始めたのが1984年のことでした。
まだシステムハウスが少なかった時代、田口のもとにはさまざまなシステム開発の相談が持ち込まれます。サーバーOSの始祖とも言えるUNIX(ユニックス)の導入や、広域LANシステムの開発、SONYと協力してのキャプテン・システム開発など、次々に新たな挑戦をつづけました。
運の良さと
持ち前の人徳でピンチを乗り切ってきた
「CHTの転機はマイコンソフトに傾注したことだった」と振り返る田口。他にもFAX国際通信網を開発し、パリのSITA(国際航空通信共同体)本部まで納品に行ったり、旅客機のフライトシミュレータ(操縦訓練装置)を開発したり、国内のみならず世界に向けたシステム開発にも貪欲に取り組んでいきます。
そのようななか、ピンチも訪れます。大きなプロジェクトを目前に、約束していた銀行に逃げられ資金繰りに困ったこと。最終的には他の銀行が危機を救い、窮地を乗り切ることができましたが、ここでも田口の運の良さと持ち前の人徳が彼を助けます。
ちゃんとしたシステムを、きちんと期日を守って
確実に納品すること
1984年の設立から40年余り、客先常駐スタイルではなく社内開発のスタイルを貫き、新しいチャレンジをつづけてきたCHT。順調な事業を支えたのは、高品質なシステムを期日内に確実に納品する姿勢でした。
いただいた仕事は、例え赤字になったとしても最期までやり遂げるという信念。そこから顧客の信頼が生まれ、また次のビジネスに繋がるという好循環で、スピードを落とすことなく発展しつづけたのです。40年間一切ブレることなくその姿勢を貫いた結果、現在では寄せられる依頼が絶えないほど、お客様から高い評価を得る組織となっています。
お客様との
信頼関係があるから絶対に“逃げない”、
これはCHTの自慢
これまでのビジネスを振り返り田口は「正直、流れのままにやってきただけ。偶然もあるけどやっぱり運は良かったと思うし、あとは人との信頼が一番大切。信用してもらえるかどうかが全てだよね」と語ります。
「会社は新しいことをやるのが宿命。やったことがないからできません、っていう会社もおおいけれど、そんなことはおかしい。人の真似事をして安く売るビジネスモデルが増えるなかで、うちはどんどんチャレンジして新しいものを創りたいね」そう語る田口の目標は、再び“日本初”の技術を創出し、それを世界に広める企業になること。「世界に通用する日本の技術はあると思う。それをしっかりと世界にアピールしたい」と、100年企業を目指してさらなる進化と努力を誓います。
新しいことをやるのが
会社の宿命。面白いことを
していきたい
現在、CHTの相談役という肩書とは別に、東京都健康福祉研究会の会長も務め、高齢者の認知症を中心とした研究にあたる田口。認知症を進行させないための手や頭を使うゲームを研究したり、筋力低下予防のプログラムを立案したり、幅広く活動を行っています。過去には排尿器や介護用ベッドの開発にも参画。このような健康福祉に関連した活動の観点から、CHTでは認知症防止のための咀嚼訓練機を開発するなど、垣根を超えた事業展開にも積極的です。
コンピュータ・
ハイテックは
風通しが良い。
良過ぎるくらい
2022年に代表を退くも、相談役として会社を見守る田口。退任を機に50坪の畑をはじめました。健康のため農機は使用せず、自身の力で耕した畑で収穫した野菜や果物を会社に持参し社員に配布。またホームベーカリーを購入し、自宅で焼いたパンを会社に持って来るなど、今も常に新たなチャレンジと“作る”作業をつづけています。
面白い人が良い。好奇心旺盛で
チャレンジするのが
好きな人が良いね
これからも貪欲に新たな技術や領域に挑戦し、“日本初”のシステムの世界発信を目指すCHT。創業社・田口の「ものづくり」への探究心と、絶対に信頼を裏切らない姿勢は、コンピュータ・ハイテックのDNAとしてしっかりと受け継がれています。